桜と紫と日本の関係
春を待ち朧月夜に魅惑的に咲き乱れる桜は、日本人ならだれでも心惹かれる情景です。
春の朧月夜からイメージを繋いでいくと紫式部が書いた源氏物語は、平安時代中期1000年頃に、書かれた世界最古の長編小説です。 帝の御子でありながら源氏という臣下の身分に落とされ、皇位継承権を失った皇子(光源氏)の王権復活の物語で、当時の王朝貴族の華やかなりし時代を背景に 語られています。
この源氏物語で、桜の季節に源氏は宮中で朧月夜の姫と出会い、お互いに恋に落ちます。
桜とほのかな月明かりに恋が芽生えるのは必然
この桜色がどれだけ私たち女性にとって必要であるか・・・
母性を育み、周りを慈しみ、恋を招く色
紫式部という女性は、五感で感じ取った全てのことを思考に置き換え、文字に落とし込み、読み手に溢れるイメージを伝えた最古の女性作家です。
紫は、ノルアドレナリンの分泌を促し神経を興奮させ、不安や恐怖を引き起こすという側面をもっています。
そのため、人はこの色をみると潜在的に自分と距離をとります。
この心理的側面を紫式部が知っていたかは定かでは、ありませんが
有り余る知性と品格で民の心を牽引していたのは確かです。
日本の和が語りかける色彩は、四季を通じて今も昔も静かに多弁でもあります。